はじめての資産運用

どうして銀行に預金しているだけではいけないのか

目次

・まえがき

・複利とは

・物価上昇率とは

・どうして預金が目減りしてしまうのか

まえがき

”銀行に預金しているだけだとそのお金少しずつ減っちゃうよ•••”

 

皆さんはこんな怖い話を耳にしたことはありませんか?

正直、これだけ聞いても話がよく見えないですよね。

”預金金利は0.001%なのに、口座からお金を引き出したり振り込むときには数百円かかるからってこと?”

って考えた方、確かにそれもあります。
0.001%しか返ってこないのにあらゆるところで手数料が取られているという認識を持っておく事はとても大切なので意識しましょう

でも今回のポイントはそこではないんです。

 

今回大切になってくる言葉は『複利』『物価上昇率』です。

特に『複利』は今後の資産形成にあたってとても大切な言葉になるので絶対に抑えておきましょう!!

 

複利とは

皆様ご存知、20世紀最大の物理学者とも言われるアインシュタインが『人類最大の発明』と称したものが何か、皆様はご存知でしょうか。

そう、それが『複利』なのです!

あの天才アインシュタインにそこまで言わせる『複利』とはいったい何者なのか•••
対になる言葉で『単利』という言葉がありますので、例を交えて合わせて説明していきます。

例①:
AさんはBさんに5,000,000円を借りることになりました。
借入時の条件は、期間は10年間、利息は年利5%(単利)を10年後の元本返済時に支払うこととした。

この場合、AさんがBさんに支払うことになる利息は10年間でいくらになるでしょうか。

5,000,000円 X 5% X 10 = 2,500,000円

これは簡単ですね、単利というのは元本に対して利息が発生するという考え方なので、毎年発生する利息は固定化されます。

 

続いて2つ目の例に移りましょう。

例②:
AさんはBさんに5,000,000円を借りることになりました。
借入時の条件は、期間は10年間、利息は年利5%(複利)を10年後の元本返済時に支払うこととした。

この場合、AさんがBさんに支払うことになる利息は10年間でいくらになるでしょうか。
今回は1年目から3年目までを1年ずつ見ていきましょう。

1年目: 5,000,000円 X 5% = 250,000円
2年目: 5,250,000円 X 5% = 262,500円
3年目: 5,512,500円 X 5% = 275,625円

お分かりいただけましたでしょうか。

単利が元本に対して利率をかけているのに対し、複利の場合は、元本+利息の合算金額に対して利率をかけるのです。これが複利のすごいところであり、恐ろしいところでもあります。期間が長くなるほど、雪だるま式に増えていくのです。

ちなみに例②の場合の返済時の元本と利息の合計金額はというと•••、
なんと8,144,473円!!

単利か複利かの違いだけで644,473円も違いが出てくるのです。

 

何も知らないで契約書に判子なんか押そうものなら、大変なことになり兼ねませんので十分に気をつけましょう。

 

物価上昇率とは

物価上昇率とは、ある時期を基準とした時の物の価値の変動度合いを表した経済指標のことを言います。物価の上昇、別の言葉でインフレと言われることもありますが、この度合いを表した指標ですね。

なぜこの『物価上昇率』が預金が減ってしまうことに繋がるのかを見る前に、インフレ(物価の上昇)について簡単にふれておきましょう。

 

時はX1年 1台 1,000,000円の車があるとしましょう。
そして現在毎年1%ずつインフレ(物価の上昇)が続いていると仮定した場合、X2年に同じ車を購入するには 1,010,000円が必要になります。計算式は以下の通りです。

1,000,000円 X 1.01 = 1,010,000円

物の価値が1%上昇するため、10,000円分値段が上がったわけですね。

ではX3年にまた同じ車を購入する(そんなに毎年買うか!ってツッコミはおいておいて下さい笑)にはいくら必要になるでしょうか。
1年で10,000円上がったから、1,020,000円になるのかな? みてみましょう。

1,010,000円 X 1.01 = 1,020,100円

いやいや、スタート金額間違ってるやん!って思ったそこのあなた、これも複利の力です。

実際のところ、物価上昇率は毎年変動するのでここまで綺麗には行きませんが、インフレが続く間はこのようにして物の価値が高まり続けていきます。

 

どうして預金が目減りしてしまうのか

ここまで『複利』と『物価上昇率』について抑えてきました。
ここでいよいよタイトルにもある預金が目減りする理由について見ていきたいと思います。

物価の上昇とは、物の価値が高まるということですが、何に対して価値が高まったのかと言うとそれがお金です。お金を視点にしてみると物の価値が高まったということは、逆の視点から見ればお金の価値が下がった、ということなんです。

わかりやすいように例を見てみましょう。

例:
現在、銀行預金に10,000,000円の預金があります。
年間の物価上昇率が1%と仮定し、20年間大切に銀行に預け続けました。
※預金利息は利率が限りなく0に近いため、今回は計算に含めないものとする。

この場合、20年後に通帳に残っているのはいくらでしょうか。

答えは簡単、10,000,000円ですよね。
それはそうです、20年間一切引き出さなければ額面はそのままです。

ですが、その10,000,000円は、本当に今の10,000,000と同じ価値なのでしょうか•••
計算してみましょう。

 

経過 現在価値 経過 現在価値
開始年度 10,000,000円 11年後 8,953,383円
1年後 9,900,000円 12年後 8,863,849円
2年後 9,801,000円 13年後 8,775,210円
3年後 9,702,990円 14年後 8,687,458円
4年後 9,605,960円 15年後 8,600,584円
5年後 9,509,900円 16年後 8,514,578円
6年後 9,414,801円 17年後 8,429,432円
7年後 9,320,653円 18年後 8,345,138円
8年後 9,227,447円 19年後 8,261,686円
9年後 9,135,172円 20年後 8,179,069円
10年後 9,043,821円

 

初めて自分で計算してみた時、正直引きました•••
この減り具合ってえげつなくないですか?

もちろん預金に対しての利息も入りますし、毎年安定的に1%の物価上昇が現実に続くか、という視点も有りますが、政府が掲げている物価成長率の目標は2%と考えると、それが実現した場合、何も対策をしなければさらにこの倍の速度で目減りしていくことになります。

 

過去の日本では銀行に預けておくだけで10年で預金が2倍近くに増えるような高い利息の時代も有りましたが、現在は残念ながらそのような環境ではありません。

何も知らず、何もしなければ必死に節約して貯めているものまで減少していくということを知った上で、それでもこれまで通りただ銀行に預け続ける選択肢を選びますか•••?

 

それではまた!